納豆に豊富に含まれるポリアミン。ポリアミンの疑問について、解説します。

納豆とポリアミン

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発掘!あるある大事典2の放送

2006年7月30日の「発掘!あるある大事典2 」第118回では、
「世界が大注目!納豆で若返る方法」が放送されました。
内容は、納豆に含まれるポリアミンをあつかったものでした。
この放送があってから、弊社には多くの問い合わせが寄せられました。
テレビの力はすごいと感じるとともに、
放送内容についての問い合わせは放送局にしてほしいと思った次第です。
なかでも多かった質問は、ポリアミンを効率よく摂る方法についてです。
放送内容は、以下に紹介されています。
http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search2/aru118/118_3.html 
 
 
大豆のポリアミンが流出する?

放送で、ポリアミンはひきわり納豆より小粒納豆、小粒納豆より大粒納豆に多いと紹介されました。
その理由について、
ほとんどの納豆は、製造段階で水に浸されます。
「大粒」や「小粒」は皮に包まれているため、
ポリアミンが溶け出す量は少なくて済むのですが、
まろやかな食感が楽しめる「ひきわり」は、皮が付いていないため、
ポリアミンが流出してしまうと考えられるのです。

と述べています。
この理由付けは、疑問です。
大豆にもポリアミンは含まれますが、
納豆のポリアミンの大部分は納豆菌によって作り出されるものです。
発酵前の大豆に含まれるポリアミン量に違いがあったとしても、
それは微々たるものにすぎません。
この理由付けで、ひきわり、小粒、大粒納豆のポリアミン量の違いを説明することはできないでしょう。

 
ポリアミンは大粒納豆に多い?

 それでは、ほんとうに大粒納豆にはポリアミンが多いのでしょうか?
番組では、ひきわり、小粒、大粒納豆のポリアミン量が示されています。
このポリアミン量をどのような方法で測定したのかは、
わかりません。
しかし、少し気になることがあります。
それは下で触れるように、この番組ではかき混ぜるとポリアミンが増えると言っていることです。
もちろん、そんなことはありえないわけです。
もしかすると、納豆を水で攪拌し、その溶液中のポリアミン量を測定したのかもしれません。
このような方法だと、ひきわり納豆の大豆成分が溶液中に混じり、
単位量当たりのポリアミン量が小さくなることがあります。
もうひとつ、考慮しなくてはならないことは、
製品間のばらつきです。
同じ大粒納豆、同じひきわり納豆でも、発酵の深さでポリアミン量は大きく異なります。
一概に、ひきわり、小粒、大粒納豆でポリアミン量が違うとは言い切れないでしょう。
 
大粒納豆をみじん切りにするとよい?

番組では、
ポリアミンをもらさず「ひきわり」を食べるには、
「大粒」や「小粒」などの納豆を、家で「ひきわり」にするのがオススメ。
「ひきわり」にすると表面積が増えます。
すると、納豆菌の繁殖するスペースが拡がり、
ポリアミンも増える、ということになるのです!

と紹介されています。

同じ番組の中で矛盾したことが言われており、
視聴者は混乱するのではないでしょうか?
ひきわり納豆では表面積が広くなり、単位量当たりの納豆菌数もポリアミン量も多くなります。
この説明は正しいのです。
とすると、大粒納豆の方がポリアミンが多いという説明と矛盾します。
大粒納豆の方がポリアミンが多いという説明を自ら否定しているように思えます。
それはそれとして、番組では納豆をみじん切りにすることを勧めています。
納豆をみじん切りにしても、何の差し支えもありませんが、
それで成分が変わるという説明は正しくありません。
市販の納豆は、発酵後に冷却して発酵を止めています。
この納豆をみじん切りにしたところで、納豆菌が急に増えたりすることはありません。
もちろん、ポリアミンの量も変わりません。
 
納豆プラス卵でポリアミンが増える?

 番組では、納豆に卵をかけるとポリアミンが54%も増えると伝えました。
そして、その理由を、
実は、卵のタンパク質は、納豆菌の大好物。
入れるとより繁殖するため、ポリアミンも増加!

と説明します。
もしこれが本当なら、世紀の大発見です。
(株)ナビオはポリアミンを多く含む健康食品原料を開発してきたメーカーです。
まさかと思いながら、一応実験してみましたが、
やはり、世の中はそんなに甘くないようです。
そこで、あるあるがどうしてこんな奇想天外なことを考えたのか、
考えてみました。
まず、みじん切り納豆と同じ思考で、
市販納豆の納豆菌が急に増殖すると考えているのが第一の問題。
次にポリアミンの測定法。
卵かけ納豆では、納豆のポリアミンが取り出しやすくなります。
そのために、ポリアミンが増えたように勘違いしたのでしょう。

 
よく掻き混ぜるとポリアミンが増加する?

 番組では、
納豆菌を繁殖させ、ポリアミンを効率良く摂るためには、50回以上混ぜるのがオススメです!
と紹介します。
はたして、そんなに簡単に納豆菌は増えるのでしょうか?
番組では、10回混ぜた納豆1パックの納豆菌は3250億個、50回で4250億個であったと言います。
この菌数の違いは測定誤差の範囲であり、掻き混ぜても納豆菌数は変わらないことを示しています。
この番組では、みじん切りにしたり、卵かけにしたり、掻き混ぜたりすると、
納豆菌数が増加すると繰り返し述べています。
しかし、示された数字を見ると、そのような努力しても納豆菌数は変わらないことを示しています。
それと、納豆菌数とポリアミン量には一定の相関はありますが、
納豆菌が多いからポリアミンが多いとは必ずしもいえません。
 
常温放置でポリアミンは増加する?

番組では、
冷蔵庫から出してすぐの納豆」と、「出してから30分経った納豆」のポリアミン量を調べてみたところ、
30分置いた納豆の方が、ポリアミンはこんなにも多かったのです!

と説明します。
パネルの数字は、36.7%の増加を示していました。
番組では、その理由を次のように説明します。
料理をする前に冷蔵庫から出し、混ぜてから置いておくと、
食事をする頃には、再び納豆菌が活動を始め、ポリアミンも増えるという結果に!

この、再び発酵が始まりポリアミンが増えるという説明は、
もちろん正しくありません。
実際は、納豆菌数は変わりませんし、ポリアミン量も変わりません。
この番組のデータがどのようして得られたものか不明なので、
36.7%の増加は謎としか言いようがありません。
 
 
醤油は、食べる直前に加えるのがよい?

番組では、
醤油には、ご存知の通り塩分が含まれています。
この塩分が、納豆菌の繁殖を止めてしまうため、食べる直前に加えるのがよいのです!
これは、パックに入っている「タレ」や「辛子」も同じですよ!

と述べます。
もう説明する必要はないと思いますが、
市販の納豆は冷却して再発酵しないようにしています。
つまり、市販の納豆に含まれている納豆菌の大部分は、
芽胞細胞なのです。
この芽胞細胞は、簡単に発芽しません。
常温に戻したり、混ぜたり、卵かけにしたりは、無駄な努力です。
もともと簡単に発芽しないのですから、
醤油やタレを何時入れようが関係ない話なのです。
   
ポリアミンの血中濃度が上昇する?

 番組では、納豆を食べた被験者の血中ポリアミン濃度が上昇したと、
グラフで説明されました。
しかも、ひきわりよりも小粒、小粒よりも大粒納豆を食べた被験者の方が、
より高い上昇率を示したといいます。

グラフをみると、思わず唸ってしまうほどきれいなグラフです。
普通、食品の効果試験でこれほどきれいな数値は出ません。
特に被験者の数が少なければ、期待通りの数値はなかなか出ませんし、
実験日数が短くても、期待通りの数値はなかなか出ません。
体重、性別、年齢、食生活などの要因も、数値に影響するからです。
よほど良い条件が重なったのでしょうか?
私は、納豆を食べてポリアミンの血中濃度が上昇している事実にだけ、
注目しておきたいと思います。
 
 
ポリアミンは若返り物質か?、抗加齢物質か?

 健康によい食品(物質)が紹介されるとき、さまざまに誇張されたり歪曲されたりすることがあります。
売り上げ増加につながるものなら、何にでも飛びつく企業の側の問題でもあります。
ポリアミンに早くから注目し基礎研究を続けてきたナビオにいる人間から見ると、
昨今の我田引水的なポリアミン商品、ポリアミン広告にはいささかとまどいさえ感じます。
とまどいとは、なんでしよう。
マスコミや広告は、単純な話を作り上げます。
単純な話というのは、
「加齢とともに体内のポリアミンは減少する。ポリアミンを補給すれば若々しくなれる。」
という類の話です。
もちろん、単純だから間違っているというわけではありません。
その通りかもしれません。
もしそうであるならば、ポリアミンは若返り物質といえるでしょう。
一方で、ポリアミンを抗加齢物質と考える考え方があります。
この考え方は、若返り物質論よりもやや複雑です。
現時点では、どちらも正しいかもしれないし、どちらかが正しいかもしれないし、
どちらも正しくないかもしれない、としかいえません。
 
ポリアミンは加齢とともに減少する

ポリアミンとは、一定の分子構造上の特徴を持つ直鎖脂肪族炭化水素の総称です。
ポリアミンという一つの物質があるわけではありません。
このポリアミン、多いか少ないかの違いはありますが、全ての生命体に含まれています。
野菜にも、魚にも、お肉にも、人間の体にも。
そうなんです、人間の体の中に元々ある物質なのです。
ただ、乳児の体の中には多くあるのに、加齢とともに減少していきます。
このことから、ポリアミンを補給すると、
赤ちゃんのような若々しい体になれるのではないかという発想が生まれます。
 
 なぜ加齢とともにポリアミンは減少するのか?

これはとても難しい問題で、はっきりしたことはわかっていません。
ただ言えることは、ポリアミンが細胞の増殖に関係していると言うことです。
赤ちゃんは細胞の新陳代謝がさかんです。
つまり、新しい細胞が次から次に増殖しています。
そのためにポリアミンも多いのです。
逆に、高齢者では新陳代謝が衰え、細胞の増殖が少なくなります。
だから、ポリアミンも少ないのです。
そこで問題となるのは、
ポリアミンが多いから細胞の増殖がさかんなのか、
細胞の増殖がさかんだからポリアミンが多いのか、
どちらなんだと言うことです。
前者、ポリアミンが多いから細胞の増殖がさかんだとすると、
ポリアミンは有力な若返り物質と言うことになります。
上述のあるある大辞典でもこのような理解で番組が作られていました。
 
 ポリアミンの減少は結果かもしれない

私は、ポリアミンが細胞の増殖を促すという考えを否定するわけではありません。
この考えが正しいことを示唆する事実もあります。
たとえば、自分でポリアミンを作れない特殊な大腸菌にポリアミンを与えると、
生育が促進されるという報告があります。
しかし、現時点では、細胞増殖がさかんである結果として、
多くのポリアミンが作り出されているのではないかと考えています。
ポリアミンを多く含む食品は、細胞増殖のさかんな食品です。
納豆やヨーグルトはポリアミンを多く含む食品です。
これを説明するのに、大豆や牛乳にポリアミンがたくさん含まれているから、
納豆菌や乳酸菌がさかんに増殖するとは言えません。
納豆菌や乳酸菌がさかんに増殖したから、
納豆やヨーグルトの中にポリアミンが多く作られたという説明の方が合理的でしょう。
もしそうだとすると、
加齢によるポリアミンの減少は細胞増殖の低下による結果であり、
ポリアミンを補給しても細胞増殖をさかんにしないかもしれない、
ということになります。
これは、癌患者さんの観察によっても裏付けられます。
実は、癌患者さんの体には、ポリアミンが増えているのです。
激しく増殖するガン細胞は、ポリアミンを増やすわけです。
ポリアミンが増えても、癌患者さんが若々しく見えることはないのではないでしょうか?
もちろん、体力の消耗と相殺されていると見ることもできなくはありませんが。
ポリアミンの若返り効果を期待して読んでくださった皆さんには、
期待を裏切って申し訳ありません。
 
ポリアミンについての新研究

それでは、若さを維持するのにポリアミンは役立たないかというと、
そうではありません。若さとポリアミンは、大いに関係がありそうなのです。
自治医科大学の早田邦康氏らによる一連のポリアミン研究により、
ポリアミンへの注目が高まることになりました。
早田氏の研究を読むと、若返りどころではなくて、
ポリアミンのすごい効果が書かれているのです。
でも、それなりの基礎知識がなければ、
内容を理解できないでしょう。
あるあるのスタッフもこの研究を知っていたのでしょうが、
番組で紹介するのは難しかったのかもしれません。
その研究については、以下をご参照ください。
http://www.jafra.gr.jp/pori1.pdf
http://www.jafra.gr.jp/pori2.pdf
http://www.jafra.gr.jp/pori3.pdf
 
ポリアミンは白血球機能関連抗原1因子(LFA-1) に作用する

人間の体には、異物の侵入を監視し、撃退する機能があります。
この機能を免疫機能といいます。
免疫機能が働いて、異物を排除するために攻撃すると炎症が起きます。
免疫機能は細菌などの侵入から体を守る大切な機能ですし、
その結果としての炎症も生理的な反応です。
しかし、この機能が強すぎるのも問題なのです。
免疫機能が強すぎると、体のあちこちで炎症が起きてしまうのです。
そのメカニズムは複雑ですが、異物の侵入を監視しているものに、
白血球機能関連抗原1因子(LFA-1)があります。
白血球機能関連抗原1因子(LFA-1)は、
異物を発見すると、異物に付着して「ここに異物があるぞー」と知らせるのです。
異物発見の知らせが発せられると、異物排除隊がやって来ます。
そのために慢性的な炎症が生じます。
動脈硬化は、この炎症によって起きると考えられています。
 
 「強すぎる免疫」をコントロールする

白血球機能関連抗原1因子(LFA-1)による監視は大切な機能なのですが、
加齢とともに過剰に反応するようになります。
つまり年を取ると、「強すぎる免疫」のために慢性的な炎症が生じます。
この慢性的な炎症が、動脈硬化のような老化現象をもたらしていると考えられています。
それでは、年を取るとなぜ免疫の過剰反応が起きるのでしょうか?
その鍵となるのが、ポリアミンなのです。
体内のポリアミンは加齢とともに減少します。
ポリアミンが減少すると、白血球機能関連抗原1因子(LFA-1)が強く作用することがわかってきました。
ということは、ポリアミンを補給すれば、
白血球機能関連抗原1因子(LFA-1)の強すぎる発現を抑制できるかもしれないのです。
ポリアミンは、老化を根っこから断ち切る物質である可能性があるのです。
 
 
ポリアミンは吸収されるか?

試験管の実験ではすばらしい結果が出ても、
実際の生体内では何の効果もない物質は山ほどあります。
経口摂取された食品は消化作用を受け、
異なった物質に変わっていきます。
そのため、試験管内の結果と生体内の効果が異なる事があるのです。
ポリアミンについてはどうでしょうか?
うれしいことに、スペルミンとスペルミジンというポリアミン物質は、
消化作用を受けずにほぼそのまま吸収されます。
消化作用で分解されやすいプトレスシンというポリアミン物質でも、
30%程度が体内で利用されます。
ポリアミンは、食品として摂取しても、十分効果が期待できます。
さらに付け加えるならば、吸収されたポリアミンは細胞に移行することもわかっています。
細胞内ポリアミン濃度を上昇させるということが、
白血球機能関連抗原1因子(LFA-1)の強すぎる発現を抑制するためには重要なのです。
ポリアミンは自然な免疫抑制作用

「強すぎる免疫」がさまざまな疾病を引き起こしており、
「強すぎる免疫」を抑制する薬の開発が目指されています。
その際に問題となるのが、免疫という人体にとって必要な作用までも抑制してしまうことです。
ところが、ポリアミンは、白血球機能関連抗原1因子(LFA-1)という老化を引き起こす免疫作用だけを抑制し、
他の免疫作用には影響を与えないのです。
ポリアミンは元々生体内に存在する物質ですから、
生体の生理的な作用を阻害することはないのでしょう。
ポリアミンを摂取し、細胞内のポリアミン濃度を高めることは、
若々しい体の状態に戻すという意味があるのです。
体内のポリアミンを増やす3つの方法

ポリアミンを増やす最も確実な方法は、
ポリアミンを多く含む食品を摂取することです。
納豆はずば抜けてポリアミンを多く含む食品ですし、
ヨーグルトもポリアミンを多く含みます。
「かき混ぜるのがよい」などの食べ方は関係ありません。
次に確実な方法は、腸内にポリアミンを作るバクテリアを飼うことです。
納豆や乳酸菌は整腸作用を持ち、ポリアミンを作り出す細菌を増やしてくれます。
確実性は少し下がりますが、適度な運動もお勧めです。
新陳代謝を高め、細胞の増殖がさかんになると、
ポリアミンが増える可能性があります。
ついでに、意味のない方法について。
意味のない無駄な方法は、ポリアミンの前駆物質の摂取です。
生体内では、アルギニン(アミノ酸の一種)やオルニチンからポリアミンが作られています。
アルギニンやオルニチンを摂取すると体内ポリアミンが増えそうな気がします。
ところが、実際にはアルギニンやオルニチンの摂取で体内ポリアミンが増えないことが、
実証されています。
まとめ

納豆はポリアミンを最も多く含む食品です。
経口摂取されたポリアミンのほとんどは吸収され、細胞中に移行します。
細胞のポリアミン濃度を高くすることで、免疫細胞の過剰反応が抑制されます。
その結果、加齢に伴う慢性的炎症が軽減され、
動脈硬化などの老化現象が防止されると考えられています。
ナビオの製品には、吸収率のよい良質のポリアミンが多く含まれています。
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